多重質問という煽り

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多重質問という煽り(たじゅうしつもんというあおり)は2ちゃんねるの煽り合い議論などで使用される煽りの一種である。煽り合いに関わる人物が受け入れていない、または証明されていない前提に基づいて質問をすることである。質問する側は一方的な決め付けを行うためにこのような質問を行い、特に返答のディテールを期待していないことが殆どである。例えば「お前まだ自演してるの?」といった質問がある。相手が「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、彼には自作自演をしたことがあると認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手のユーザーは多重質問の誤謬の罠にかけられ、1つの答えしかできない状況に追い込まれる。

このような質問が煽りかどうかは文脈に依存している。質問が何かを前提にしていても、質問自体は煽りではない。その前提が相手が同意していないものである場合のみ、この質問が煽りとなる。

関連する誤謬として論点先取という煽りがある。これは、結論が前提として使われている論証形式である。

暗示形式

誤解を招く議論の形式として、質問に明示的に言及されない事を暗示するというものがある。例えば「○○は昔出会い厨をしてたの?」という質問は、そのような事実を主張しているわけではないが、少なくともそう思われる徴候があることを示唆しており、さもなくばこのような質問がされることもないだろう。このような質問をしている人は嘘の主張をしているわけではないが、暗黙の複合的質問(単純に「はい」や「いいえ」で答えると誤解を生むような質問)を含意している。この質問自体は煽りではないが、この質問を聞いた人々が質問の前提を裏付ける証拠があるのだろうと仮定することに間接的な煽りの要素が存在する。

修辞的な効果を狙うなら、事実の証拠なしでは普通は聞かないだろうというようなことを暗示しなければならない。例えば「○○は結構前から2ちゃんねるをやっているの?」という質問では、特に事前の知識がなくとも普通にされる質問であるため、それを聞いた人は何らかの証拠があるに違いないとは思わない。

様々な形式

以下の質問形式は何らかの前提を含んでいる。

多重質問 (loaded question)
被質問者が異議を申し立てずに答えた場合、ある告発を認めたことになるような前提を含んだ質問である。例えば「お前はまだ自己板で粘着をしているのか?」という質問がある。多重質問は質問者が真であると信じていることを被質問者に認めさせる罠である。実際にその前提が真かどうかとは無関係である。
おべっか (buttering-up)
2つの質問を同時にするもので、1つは被質問者が「はい」と答えたくなるもので、もう1つは質問者が「はい」と答えてほしいものである。例えば「あなたは良コテで私に100メロンポイントくれますか?」という質問がある。
(誤謬ではない)複雑な質問
それを聞いた人が簡単に合意できるような前提を含んだ質問。例えば「VIPコテ協会の代表は誰か?」という質問は、VIPコテ協会という組織があるという前提と、そこには代表がいるという前提を含んでいる(どちらも真である)。
誤謬的な複雑な質問
一方「コテ雑の代表者は誰か?」という質問は、そもそも、現在VIPコテ雑には代表がいないため前提が偽であり、誤謬である。しかし、この質問に答えることで回答者が告発されたり非難されるわけではないため、多重質問ではない。
暗黙のジレンマ(誤謬ではない)
否定しても肯定してもジレンマに陥る結果になる「ひっかけ質問」の一形式。例えば、古参コテが新参コテに対して「お前はこの板で有名になれると思ってるのか?」と聞いた場合、肯定応答したとしても叩かれるかどうかとは無関係である。この形式の質問は相手に会話を促す目的で使われる。

対応策

このような質問に対する一般的な対応策は、「はい」や「いいえ」と単純に応答するのではなく、文脈を踏まえたちゃんとした文で答えることである。上述の例で言えば、「お前まだ自演してるの?」という質問へのよい返事としては「僕は自演をしたことなどない」あるいは「自分はPCしか持っていない」である。このように答えることで曖昧さを排除し、相手の戦術を無効化する。しかし、質問者はさらに「はぐらかし」の質問をすることで被質問者のこの戦術を無効化することがある。「では、僕がPCしか持っていないのに、どうして自演をしていると考えたのか説明してください」といった修辞的質問はそのような相手の戦術にも効果的である。

関連項目