論点先取という煽り

提供:Vikipedia

論点先取という煽り(ろんてんせんしゅというあおり)は、2ちゃんねるの煽り合い議論などで使用される誤謬の一種である。簡潔にいうと「前提と見せかけた結論から結論を出す」という循環論法であり、煽り合いにおいてはレッテル貼りに多く用いられる。

論点先取は古代ギリシアの哲学者アリストテレスが紀元前350年頃に著した「分析論前書」(Prior Analytics) に既に記述されており、古代より誤謬の一つとして認識されていた事がうかがえる。

概説

論点先取とは三段論法の中で、本来「タマゴ→ヒヨコ→ニワトリ」とする過程を「ニワトリ→ヒヨコ→ニワトリ」としている。つまり推論過程に証明すべき事柄を前提とする命題を含んでいる。

例えばコテハン同士の煽り合いで、相手が煽りに弱い事を証明したいとする。

  • アイツは煽り合いで勝つことができない。
  • アイツは今、煽り合いをしている。
  • したがって、アイツはこの煽り合いに負ける。

この文章は論理的だが、話し手の真実性を納得させることはできない。問題は、「アイツが煽り合いで勝つ事ができない」ことが真実であると仮定することを周囲に頼んでいるため、これは実際には「アイツが煽り合いで勝てないなら、アイツは煽りに負ける」ということを証明しているに過ぎない。

このような論証は論理的には妥当である。すなわち、結論は実際に前提から導き出されている。ただし、何らかの意味でその結論は前提と同一である。要するに、「いや、そもそも煽り合いで勝った事がないって本当なの?」という疑問を持たれる可能性のある誤謬である。しかしインターネット上の煽り合いにおいては、そのような前提に対して疑いを持ち、実際に周囲が検証するという事例が極めて少ないので効果的な煽り方とも言える。

関連する誤謬

論点先取は多重質問という煽りと関連している。多重質問という煽りとは、結論を単に主張するのではなく、(結論を支持する)受け入れられにくいソースを提示することに起因する煽りの技法である。

どちらも関連しているのは「(多少無理やりにでも)結論の正当性を示したい」という煽り合いにおける一種の焦りがある点だろう。

関連項目