「スレカス読書感想文」の版間の差分

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ちなみに私が本書を通読したのは一年ほど前になるのだが、その頃の私は「政治学の基本は極めたりぃ!」みたいなノリでイキりまくっていた。しかし本書はあくまでも概論的なテキストなので、政治学ガチ勢を自称するなら各論的な見識の拡張(深化)は不可欠である。この程度の浅薄な知識量でネット論客に喧嘩を売りまくっていた当時のアホな自分を殴り殺したい。賢明なる読者の皆さんはくれぐれも注意するように。
ちなみに私が本書を通読したのは一年ほど前になるのだが、その頃の私は「政治学の基本は極めたりぃ!」みたいなノリでイキりまくっていた。しかし本書はあくまでも概論的なテキストなので、政治学ガチ勢を自称するなら各論的な見識の拡張(深化)は不可欠である。この程度の浅薄な知識量でネット論客に喧嘩を売りまくっていた当時のアホな自分を殴り殺したい。賢明なる読者の皆さんはくれぐれも注意するように。


「銃・病原菌・鉄」
「銃・病原菌・鉄」<br>
先進国と発展途上国の間に拡がる経済格差(貧富の差)の根源的な要因を、ワールドワイドな視点から看破した衝撃作として世界中の有識者から絶賛された。しかし、個人的には(日本人の私からしてみれば)やや過大評価されてる感が否めない。そもそも本作は人種差別的な固定観念が根強く残る欧米社会に対するアンチテーゼとして価値があるので、日本人の我々が読んでも(比較的)平凡な歴史書の域を出ないだろう。白人社会に及ぼした絶大なインパクトを真に伺い知ることは困難である。しかしながら、生物学や気象学、さらには農業や文化人類学の知見を総動員した本作は、純粋な読み物として楽しめる。史上空前のベストセラーを記録した「サピエンス全史」と共に、現代人の必須教養として抑えておきたい。
先進国と発展途上国の間に拡がる経済格差(貧富の差)の根源的な要因を、ワールドワイドな視点から看破した衝撃作として世界中の有識者から絶賛された。しかし、個人的には(日本人の私からしてみれば)やや過大評価されてる感が否めない。そもそも本作は人種差別的な固定観念が根強く残る欧米社会に対するアンチテーゼとして価値があるので、日本人の我々が読んでも(比較的)平凡な歴史書の域を出ないだろう。白人社会に及ぼした絶大なインパクトを真に伺い知ることは困難である。しかしながら、生物学や気象学、さらには農業や文化人類学の知見を総動員した本作は、純粋な読み物として楽しめる。史上空前のベストセラーを記録した「サピエンス全史」と共に、現代人の必須教養として抑えておきたい。


「読まなくてもいい本の読書案内」
「サピエンス全史」<br>
さんざん語り尽くされてる感があるので今さら内容の説明は不要だろう。我々ホモ・サピエンスが旧来の人類種を押し退けてこの星の覇権を樹立するに至った本質的動因を、ユダヤ人の奇才ユヴァル・ノア・ハラリが明晰に解き明かしていく。虚構的な幻想を信じるホモ・サピエンス特有の性質が、人間社会の高度に組織化された協調活動を可能とした。宗教的な権威は先時代のホモ・サピエンスに統率力を与えた。そして、現代社会の人々が当たり前のように利用している「通貨」という概念は、まさしく共同幻想の産物である。つまり、我々の隆盛は"幻"の上に成り立っている。そうした本書の洞察は出色である。知的好奇心を滾らせている大学生やビジネスパーソンの教養として是非。
 
「読まなくてもいい本の読書案内」<br>
人気作家として不動の地位を築き上げている橘玲が上梓した意欲作。ここ数年で急速に勢力を伸ばしている進化心理学が人文系学問に与えるブレイクスルーを分野横断的に論じた稀有な作品として特筆に値するだろう。エッジの効いた語り口で旧弊な文系学問に一石を投じる著者の問題提起は痛快である。21世紀のアカデミアの展望を切り拓く斬新な論考には目から鱗が落ちる。なるべく若いうちに読んでおきたい。
人気作家として不動の地位を築き上げている橘玲が上梓した意欲作。ここ数年で急速に勢力を伸ばしている進化心理学が人文系学問に与えるブレイクスルーを分野横断的に論じた稀有な作品として特筆に値するだろう。エッジの効いた語り口で旧弊な文系学問に一石を投じる著者の問題提起は痛快である。21世紀のアカデミアの展望を切り拓く斬新な論考には目から鱗が落ちる。なるべく若いうちに読んでおきたい。


「進化心理学から考えるホモ・サピエンス」
「進化心理学から考えるホモ・サピエンス」<br>
進化心理学の入門書。とても分かりやすいのでオススメである。しかし進化心理学ガチ勢として幅を利かせるツイッター論客ore君によれば糞本らしいので、私を信用できない賢明な皆さんはスティーブン・ピンカー氏の著作を求めるとよろしい。
進化心理学の入門書。とても分かりやすいのでオススメである。しかし進化心理学ガチ勢として幅を利かせるツイッター論客ore君によれば糞本らしいので、私を信用できない賢明な皆さんはスティーブン・ピンカー氏の著作を求めるとよろしい。


「正義の教室」<br>
「正義の教室」<br>
哲学の入門書に定評のある飲茶の力作。政治哲学の基盤を成しているリベラリズムとかリバタリアニズムとか功利主義について平易な言葉で解説されている。政治哲学はぼかあの専門分野なので知識の再確認として楽しめた。コミカルなオチが秀逸。
哲学の入門書に定評のある飲茶の力作。政治哲学の基盤を成しているリベラリズムとかリバタリアニズムとか功利主義について平易な言葉で解説されている。政治哲学はぼかあの専門分野なので知識の再確認として楽しめた。コミカルなオチが秀逸。
「ぼくたちに、もうモノは必要ない」<br>
ミニマリストのバイブルとして広範な支持を獲得している。よくありがちな胡散臭い自己啓発書かと思いきや、わりと思想的に洗練された文章が書かれていたので面白かった。東洋思想(老荘思想)に通じる彼らの朴訥とした価値観は厭世的な気分に沈んでいる社会不適合者にとって救いの福音として響くのではなかろうか。私は本書の主張を支持したい。
「生きている民族」<br>
中世の日本を生きる人びとの暮らしぶりを民俗学の観点から描く。「日本=農業社会」というステレオタイプを粉砕する本書の論考には新鮮さを覚えた。いわゆる"網野史観"を支持する立場であると考えられる(これは余談であるが、宮崎駿の名作アニメ『もののけ姫』の舞台設定は網野史観を基盤に据えている)。
「自由はどこまで可能か」<br>
先鋭的な政治哲学"リバタリアニズム"を簡易的に概説した入門書として評価が高い。アスキューが考案した分類法『ノーランチャート』を効果的に引用しながらリバタリアニズムの中核的な理論を広く浅く鳥瞰していく。まあちょっと難しい箇所があるので、さらに易しい入門書の一つである「不道徳な経済学」を予備知識としてインプットしてから本書に挑むのも一興だろう。
「14歳からの社会学」<br>
図書館から借りてきて読了。著者はリベラル左派として論壇に立つ宮台真司。ぶっちゃけあまり内容は覚えていない。
「歴史を掴む技法」<br>
これも同じく図書館から借りてきた。新書なので内容は薄っぺらいが、『歴史とは帰納的な観測事象を積み重ねる科学である』みたいな内容の言及に痺れた。
「それゆけ!論理さん!」<br>
「入門!論理学!」<br>
「論理トレーニング101題」<br>
いずれも野矢茂樹による入門書。論理学の初歩的な知識を実践的な問題演習によって会得できる。私は論理的思考力が欠如しているので詳細な論評は控えるが、少なくとも頭の体操として有用だったと思う。読んで損はなかった。
「滅びの園」<br>
SF小説。謎の生命体"プーニー"に地球が侵され徐々に滅びゆく悲壮的なストーリー。しかしそれとは裏腹に温和な雰囲気の文体が奇妙な世界観を醸し出している。
「バトルロワイヤル」<br>
SF小説。いわゆる"バトルロワイヤル物"の原点にして頂点。とある無人島に集められた中学生が最後の一人になるまで殺し合う。不朽の名作なので絶対に読むべし。
「もものかんづめ」<br>
"ちびまる子ちゃん"の作者として有名なさくらももこの爆笑エッセイ。ウィットに富んだ語り口で日常に潜んでいる笑いのツボを掘り下げていく。受験生の方は気分転換に是非。
「燃えよ剣」<br>
司馬遼太郎の歴史小説。幕末の動乱期が舞台。新選組副長土方歳三の生涯を生き生きと描く。めっちゃおもろい。
「キッチン」<br>
吉本ばななのデビュー作。生きることの儚さを女性の繊細な視点から描く。30年の時を超えて読みつがれる名作。
「ノルウェイの森」<br>
村上春樹の代表作。叙情的な文章で綴られる美しい物語が胸を打つ。読後感は『おやすみプンプン』という名作漫画に近い。喪失感が半端ねぇぜ……。
「地下室の手記」<br>
言わずと知れたドストエフスキーの怪作。根暗ヒキニートの独白が延々と続く。私は共感出来なかったが、チー牛さんの卑屈な心理状態を容赦なく抉り出したマゾ小説として傑出している。太宰治の「人間失格」に親近感を覚えた方なら本書も楽しめるはず。
「リライト」
SF小説。帯に書かれたキャッチコピーは"SF史上最悪のパラドックス"。その触れ込みに相応しい衝撃的な結末へと読者は誘われる。筒井康隆の「時をかける少女」にインスパイアを受けたストーリーはみずみずしい恋愛小説としても完成度が高い…はずだった。誇張抜きで驚愕のラストを迎えるので是非とも読んで頂きたい。
「紫色のクオリア」
陳腐なライトノベル…に見せかけた本格SF。ググってみればわかるが表紙にはデカデカと萌キャラが描かれ量産型キモラノベの風格を醸し出している。しかしそれは読者を欺くための"フェイク"である。軽い気持ちで本書を手に取ったヲタク達は量子力学のコペンハーゲン解釈や"哲学的ゾンビ"などの専門用語が飛び交う重厚なストーリーに度肝を抜かれるだろう。それでいて劇的な展開が連続して訪れるエンターテイメントの大傑作なので、読み始めたら最後、一夜漬けは避けられない。ライトノベルに嫌悪感を抱いている一般人諸君にも自信を持ってオススメできる極上の小説である。
2,520

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